JAFはヘッドライト点灯状況の実態調査を実施しました。地方拠点が全国すべての都道府県にあるJAFのネットワークを活かしたこの調査。実際のところドライバーがヘッドライトを点灯するのはいつなのか。シートベルト着用状況、チャイルドシート使用状況に続くJAF全国調査の第3弾です。調査方法
| 調査方法 | : | 日没30分前から日没後15分までのヘッドライト点灯率を、1分ごとに目視で台数を数えた。 |
| 調査対象 | : | 1、3、4、5、7ナンバーの自家用自動車(バス、トラック、タクシーなどを除く) |
| 調査条件 | : | ①全国47都道府県で、10月15~22日の間の、空に占める雲の割合が3割以下の晴天の日に行った。 |
| ②東西に走る道路は、西日の影響を受けやすいため、調査場所から除外した。 | ||
| ③ヘッドライトの消し忘れが発生しやすいトンネル付近も調査場所から除外した。 | ||
| ④LEDヘッドライト、LEDイルミネーション、DRL(デイタイム・ランニング・ライト)、フォグライトなどは点灯とみなさず、分かりづらい場合は調査対象から除外した。 |
全国調査結果から読み取る3つのポイント
JAFのニュースリリースには、今回の結果概要として3つのポイントが挙げられています。そのポイントに沿って見ていきましょう。

ポイント1. JAFがすすめる日没30分前に、ヘッドライトを点灯していた車は全体の0.9%。
なるほど、グラフを見てみると、日没30分前はおろか、日没前の点灯を実践できているドライバーは10.3%。ところが、車幅灯を点灯している車も含めると36.2%あります。車幅灯を点灯していても、ヘッドライトの点灯とは見なせませんが、この数字、実は大切な数字だと思いませんか? それは、「日没前にとりあえずライトのスイッチに手を伸ばしたドライバーの数」、と考えることができるからです。意識としては、ライトを点けなくてはならないと思っているドライバーの数なのです。ですから、「車幅灯では意味がなく、ヘッドライトでなければダメなんだ」と彼らが知ったとき、そのまま日没前にヘッドライトを点けてくれる人たちの予備軍、とも言えるわけです。
ポイント2. 道路交通法で義務付けられている日没時のヘッドライト点灯率は22.8%。
次に日没時のヘッドライト点灯率を見てみましょう。これは、道交法第52条で義務付けられているのですが、22.8%しか法律を守れていませんよ、ということでした。う~ん、由々しき事態です。ところが、同様に、車幅灯を含む点灯率、つまりヘッドライト点灯予備軍は57.5%。なんとなーく、夕方を意識して点灯しているけど、日没時点はまだ明るさの残る時間帯。車幅灯でいいや、という意識が透けても見えます。「走行中は車幅灯ではダメなんですよ~」という啓発活動を積極的に行っていく必要性を感じます。
ポイント3. 日没5分後では44.1%、10分後では72.7%と、日没後にヘッドライトを点灯するドライバーが急増した。
日没5分後と、日没10分後に、点灯率が急増するとは、その時間帯にいったい何が起きているのでしょうか? そこで、同じような条件の日に、天空照度と点灯率の関係を調べてみました。
下のグラフは、「薄暮の明るさはどれくらい?」で紹介した天空照度の推移に、ヘッドライトの点灯率を重ねてみました。あのときに、実は点灯率調査も行っていたのでした。
これを見ると、やはり日没時は368lxとまだ空に明るさが残っています。その明るさは一般家庭のリビングくらい。点灯率も伸びていません。ところが、そこから急速に照度が落ちていきます。日没5分後には197lx、10分後には84lxです。そのとき、点灯率も急増しました。ということは、やはり、ドライバーの皆さんは日没時刻は意識することなく、自分の見た目で明るいか暗いかを判断し、ヘッドライトを点灯しているということなのでしょうね。

「都道府県別、勝手にランキング」をやってみました
ところで、今回の結果発表には、都道府県別の点灯率も公開されています。ちょっと見ただけでは分かりづらいので、勝手に点数化してみました!
早期点灯に高得点を与えるために、下記のように点数を配分し、その点数に点灯率を掛け算し、合計します。
《点数の配分》
日没30分前・・・100点
日没25分前・・・90点
日没20分前・・・80点
日没15分前・・・40点
日没10分前・・・30点
日没5分前・・・20点
日没時・・・10点
合計370点
すべての車が日没30分前に点灯していると370点満点、すべての車が日没時にやっと点灯すると10点です。繰り返しになりますが、これはJAFの公式な発表ではありません。この記事に親しみを持ってもらうための、担当編集者による「勝手にランキング」ですのでご承知置きいただいて読み進んでいただければ幸いです。

栄えある1位は、東京都。2位以下を引き離して堂々の1位ですね。以下、北海道、埼玉、岩手、神奈川、と続きます。傾向としては、ヘッドライトを点けようとする意識の高い県(車幅灯点灯率)も、ヘッドライトを正しく点けることができる県(ヘッドライト点灯率)も、上位陣、下位陣が固定化していることが見受けられますね。
そんな中、注目したい県は、まず8位の滋賀県。車幅灯を含めた点灯率では22位とちょっと出遅れた感がありますが、これは、「どうせ点けるなら車幅灯だけでなくヘッドライトも」という高い安全意識を表しているといっていいでしょう。
次に、車幅灯点灯率で8位と9位にランクインしている徳島県と香川県。こちらは、ヘッドライト点灯率は30位と20位。ライトを点ける意識の高さを見せてくれましたが、ライトを正しく使うことへの啓発活動が大きな効力を発揮する県と言えるでしょう。
それにしても、1位の東京都のヘッドライト点灯率でさえも、32.7点という点灯率の低さ。この事実をまずは皆さんに知ってもらい、ヘッドライトの点灯を早めに実施する意識を持ってもらえればと思います。ラジオ局のパーソナリティの皆さん! 日没時刻に一言、ドライバーさんにお声掛けいただく「ライト点灯運動」一緒にやりませんか~!?





